エリカの日常 (1)終わりを告げた日 私の結婚生活は 些細なことで 終わりを告げた。 あの日 私はワインを飲んで ちょっぴり ほろ酔いで いい気分だった。 3か月後には 二人で マークの故郷のメルボルンに 行くことになっていた。... エリカの日常
エリカの日常 (2)始まり La Grande Resort. これが私の勤めていたホテルの名前。 家族経営の小さなホテルなのに 名前が大きい。 「お客様に 忘れられない素晴らしい時間を過ごしてほしい」 という思いで この名前にしたらし... エリカの日常
エリカの日常 (3)初めてのデート 運命を感じた瞬間が訪れることになる。 6時過ぎに 待ち合わせの場所に着いた。 サーフクラブの駐車場。 あたりを見渡したが マークはいない。 「まだ 来ていないのか」 と 思ったときに 携帯が鳴った。 ... エリカの日常
エリカの日常 (4)プロポーズ 世界が輝いて見える。 ほんとに そんなことが起きるんだと思った。 あの頃の私にとって 樹々の緑は いつもより青々として見え 空は 限りなく澄み切って見えていた。 初めて デートした日から ... エリカの日常
エリカの日常 (5)2億円のヨットで結婚式 ゴールドコーストのマークの唯一の友達は ケンとゴードンという ゲイのカップルだった。 カップルといっても 一緒に住んでいるだけで 肉体的な関係はないらしい。 この二人はヨットで暮らしていた。 二人... エリカの日常
エリカの日常 (6)蜜月(Honeymoon) ハネムーン。 日本語では新婚旅行を意味するけど 英語では 結婚直後の幸せな期間という意味もある。 付き合いだしてから アッという間に結婚してしまったので ハネムーンの計画は立てていなかった。 ... エリカの日常
エリカの日常 (7) パニックアタック 満月は必ず欠けていく。 甘い生活は いつまでも続かないという意味を込めて 「蜜月」と言うらしい。 ある朝 マークが 7時になっても起きてこない。 「7時だよ。」と 起こしに行くと 「すごく疲れてい... エリカの日常
エリカの日常 (8) 結界 あの頃の私は何もわかっていなかった。 心理学には興味があって 短期の講座を受けたり 「心の病気」を扱ったドラマは必ず見ていた。 それで なんとなく 「心の病気」を持った人を 理解している気になっていた。 ... エリカの日常
エリカの日常 (9) サイロと掃除機 過去の恐怖体験が トラウマになることは知っていた。 それでも 本人が どれだけの苦痛を感じているのかは 他人にはとうてい理解できないことだった。 キャシーはとても可愛らしい女性で いつも周りを明る... エリカの日常
エリカの日常 (10) ショッピングセンター 当たり前のこと。 日常生活で 特に意識する必要のないこと。 そんな小さな一つ一つのことが マークにとっては大事件だった。 近くのショッピングセンターの フードコートに 新しく日本料理店が オープン... エリカの日常