(80) ホリデイ in Japan ーその2 ロメオコールー

エリカの日常

2週間なんてあっという間に

過ぎてしまうから…

友達と約束して…

お気に入りのレストランにも行って…

買い物して…

 

日本を離れて初めてわかることだけど

日本の食べ物は美味しすぎる。

白いご飯・パン・野菜

すべてのものがシンプルにおいしい。

 

帰国した翌日は近所のショッピング

センターに買い物に行って

スーパーに寄って帰って来た。

スーパーのお惣菜も

どれもおいしそうで

つい買ってしまって後悔する。

 

夕飯を終えて自分の部屋に帰って

テレビを見ようと思ったときに

電話が鳴った。

「もしもし」って答えると

変なアクセントで「モシモシ」と

相手が言った。

マークだった。

 

「Hello ,Ellie. 今日はどうだった?

何か特別なことした?」

と、いつものように話始める。

 

いったいなんの用事が

あるんだろう?と思いながら

「別に変わったことはないよ。

近所に買い物に行っただけ」と

答えた。

 

「ねぇ、聞いて。僕はいろいろ

考えたんだけど、やっぱり僕たちは

一緒にいるべきだと思う」

 

えーその話なの?と思ったが

黙って聞いておくことにした。

 

「ドクターの言うように

僕たちの結婚生活は

普通じゃなかったし、僕には

エリーが必要だし、僕はエリーを

とっても愛しているし…

別れる理由はないと思うんだ」

 

「マーク。前にも言ったけど

もう、元通りにはならないよ。」

と私が言うと

「どうして?僕はエリーを

許すんだよ」と、マークが言う。

 

許すとか許さないとかの

問題ではなくて、私はもう

あなたを信用できないし、

もう、同じ気持ちで、あなたを

支えていこうとは思えない。

と言いたかったが

変にマークを怒らせると

何をするかわかったものじゃない。

 

「あのね、マーク。こういう話は

電話でするのは無理だから

私が帰ってから、ゆっくり話そう」

と、とりあえずは問題を

先延ばしにするようにした。

 

「昨日の疲れが

まだとれていなくて…

もう寝ようかと思ってたところなの。

悪いけど、この話はまた

後でしようよ。」と、マークを

刺激しないように言葉を選んだ。

 

それでもまだ、マークは

何か言いかけていたが

「ごめんね」と言って電話を切った。

 

なんだっていうのよ!

せっかく、私がホリデーを楽しもうと

思っているのに… いつだって

自分勝手なんだから!

 

何が僕がエリーを許すよ!

もう、無理だって何回言ったら

わかるのよ!

 

はっきりガンガンに言えないことが

すごいストレスになっていた。

 

せっかくチャンネルを

パチパチ変えながら

テレビを見ようと思っていたのに

腹が立ってどの番組も全然

面白くなかった。

 

せめて日本にいる2週間は

マークのことをさっぱり忘れて

楽しもうと思っていたのに

この日から、ほぼ毎日

電話がかかってきた。

 

大抵はやり直そうというものだったが

「僕の水を買っていない!」と怒って

電話をかけてきたこともあった。

 

前の日に何か買うものは?って

聞いたときには

リクエストしなかったくせに…

 

マークは水道水を大きな鍋で

沸かして湯冷ましを飲んでいた。

私が腎臓結石からくる腰痛に

悩んでいた時にポールが推薦する

ナチュロパス(自然療法士)に

行ったことがある。

 

彼女が「心臓にカビが生えているから

水道水を2分間沸騰させたものを

冷まして飲みなさい」という

インチキ臭いアドバイスをくれて

それ以来、マークは

その教えに従っていた。

 

だから、水は買う必要ないと

思っていたのに…

 

毎日のマークとの会話では

とにかく刺激しないように

自分を押さえていたので

友達と会うとつい話題が

マークのことになってしまう。

 

せっかく何年かぶりに会うのに

愚痴を聞いてもらうことに

なってしまった。

 

2週間はアッという間に過ぎた。

結局、今回もマークに邪魔を

された形になって心ゆくまで

楽しめなかった。

 

オーストラリアに帰ったら

マークとの話し合いが待ってると

思うと気が重かったが

後、2か月もしたら

彼はメルボルンに行くんだ

と自分にいいきかせた。

 

 

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