(75) 同居のルール

エリカの日常

もう この先はないのだから

スッキリと終わりたい。

今までの思いや感情に執着すること

なく 全てを手放したかった。

振り返る気はしない。

 

二人のお金を分けたことで

全ての出費を半々に

出すことになった。

 

「クリスマス前にメルボルンに行って

クリスと3人で

クリスマスを迎えよう」

と マークは言っていたが

まだ 日にちは決めていなかった。

 

それでも 後 3か月もしないうちに

マークは出ていく。

 

それまでの間のことを 具体的に

決める必要があった。

「食事は どうするの? 今 うちに

ある材料は 二人で買ったものだから

好きなものを使ったらいいけど 後は

自分で材料を買って 作るの?」

と 私が聞いた。

 

マークは 何も言わず

ただ 私を見るだけ。

「グロッサリーのお金をくれたら

私のと一緒に食事を作るよ。

2人分作るのも 手間は一緒だし…」

と 私が言ったら

「Yes, please」とボソっと答えた。

 

「後 先月保険を全部 更新したけど

マークが ここにいる間の日割りで

計算して 後は 返すから」と

付け足した。

 

「電気代とか 水道代は 後で請求が

来るから その時に日割りにするね」

と 言いながら ほかに 何か

清算するものはないか 考えていた。

マークは「OK」と

言っただけだった。

 

2週間したら 私は日本に

一時帰国することになっていた。

過去に 2回 帰国した時は

2週間分のマークの食事を用意して

冷凍しておいた。

 

冷蔵庫にあるもの

冷凍庫にあるものを

表にして貼っておいた。

 

その時に 訪ねてきたポールが

表をみて 冷凍庫をチェックし

「なんて スポイルされているんだ」

と あきれていたという。

 

今回は そこまでする必要は

ないだろうと思うと ちょっと

気が楽になった。

 

荷物を詰めるときも あまり早くから

始めると 「エリーが いなくなる

なんて 今から 寂しくて

仕方がない」とか言って マークは

落ち込んだり機嫌が悪くなっていた。

だから 気を使って 帰国の2,3日

前から 慌ててパッキングを始めたが

今回は そんな気遣いも

いらないだろう。

 

もう一緒にいることはないのだから…

 

ランチの後 マークは

ベッドルームに閉じこもって

電話で 誰かと話始めた。

 

怒ったような 恨んでいるような目で

私を見たり 負のオーラ全開で

リビングのソファに座っているよりは

視界から消えてくれたほうが

よっぽど快適だった。

 

かなり 時間が経って マークが

ベッドルームから出てきた。

 

「12月19日に ここを出ていく。

もっと 早くに出ていきたかったけど

ポールが それまでは休みが取れない

って 言うんだ。 仕事を変わった

ばかりだから」と報告に来た。

 

一昨日 喧嘩した時に 「一刻も早く

ここから出ていくから。 ポールは

僕のためなら いつでも 協力して

くれるから」と 叫んでいた。

 

いつだって マークは 全ての人が

自分のために何でもしてくれると

思っている。

そんなこと あるはずもないのに…

 

後 2か月半。

そのうちの2週間は私は日本にいる。

 

正味 2か月。

これを乗り切れば 全てが終わる…

 

今 カウントダウンが 始まった。

 

 

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