(58)Happy Easter ーその2 タイレストランー

エリカの日常

3日目の夜 マークに

「デビッドは どうするつもりなの?

まだ ここにいるの? 友達と連絡を

とったようにもないけど…」と

聞いてみると 「わからない」

と答えただけだった。

 

「それから デビッドに シャワーを

浴びるように言ってくれない?

そばに来ると におう」

と 思っていることを言った。

「僕も そう思って デビッドに

シャワーを浴びるように

言ったんだけど、仕事に行くときは

浴びないといけないから 浴びるけど

ホリデーなんだから

自分の好きなようにするんだ!って

言われた」と マークが言う。

 

私には 汗をかいたときに

ちょっと髪が匂うと

シャンプーしろだとか

食事の前だから 手を洗えだとか

いちいち言うくせに

兄には 何も言えないのか?

 

ホリデーで好きにするのは

かまわないけど

人の家にいるんだから 最低の

マナーというものがあるだろう!

 

言いたいことが山ほどあったが

デビッドに聞こえるので

言うのを我慢した。

 

せっかくもらった3日間の休みなのに

風邪をひいて寝込んでいるデビッドと

その様子をみて 何にもできずに

ただ ボーっとしているマークの

食事を作るだけで

どこにも行けなかった。

 

翌日 私が仕事から 帰ってくると

デビッドと マークが 楽しそうに

リビングで話をしていた。

 

「Hi, Ellie. デビッドは

すっかりよくなったみたいだよ」

とマークが言った。

 

「今日は みんなで食事にいこう。

デビッドが タイ料理食べたいって」

 

「そう。風邪が治って良かったね。」

と 言ったが 今まで 食欲がないと

言って ほとんど食べてなかったのに

いきなり タイフードなんか食べて

大丈夫なのかと あきれてしまった。

 

近所で人気のあるタイ料理の店を

すぐに予約して 3人で出かけた。

 

予想通り 二人で ガンガンビールを

飲んで 結局私が運転して帰ることに

なった。

 

駐車場で 車を切り返すときに

デビッドが後ろで誘導して

くれたのだが 背が高いので

バックミラーで見ても

彼の手の位置がよくわからなかった。

 

「Stop」と デビッドが

止めるサインを出したのだが

見えなかったので

そのままバックしてしまった。

ミラー越しに 慌てて横に飛びのく

デビッドの姿が見えた。

 

「エリー

僕をひくつもりだったの?」と

車に乗り込んできたデビッドが言うと

マークは 横で笑いこけていた。

「とまれって 言ったのに…」と言う

デビッドに 「聞こえなかったし

手も見えなかった。 ごめん」

と 謝った。

 

無意識にひいてやろうと思ったのか?

と 自分で笑ってしまった。

 

 

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