(5)人生は変えられる

トモカのメル恋

ショーが毎日私のお出かけチェックを

するようになって一か月が過ぎたころ

「モカ、今日は何をするの?」と

出がけにショーが聞いたとき

ワー!っと叫んで

走り出したい衝動にかられた。

 

かろうじてそれをとめると

のどがつまり息ができなくなった。

 

「今日は何も予定がないよ。

家でゴロゴロしてる。

なんだかだるいから」と

小さな声で答えた。

 

「大丈夫?

今日は大事な会議があるんだ。

会社 休めない」

 

何も会社を休んで欲しいなんて

言ってない。

できるなら早く行って欲しかった。

 

「大丈夫。 ちょっと休んだら

良くなると思うから。

心配しないで…

しっかり働いてきてね」と

冗談っぽく言って送り出した。

 

ショーはとってもきっちりしていて

物の置き方も決まっている。

私が掃除をして物を動かして

元通りに戻したつもりでも

ミリ単位で違いがわかるらしく

帰ってくるとあちこちの物の位置を

整える。

 

何もする気がしなかった。

掃除しなくても十分綺麗だし

物を動かして、また

「位置がずれてる」と、無言で

ショーに非難されるのかと思うと

掃除なんてどうでもいい

と、放棄してしまった。

 

リビングのソファーに寝転がって

タブレットでネットサーフィンを

していた。

 

なんの目的もなく…

 

すると、ふと眼に入った広告に

「あなたの人生は変えられる」

という文字が書かれていた。

 

潜在意識トレーニングの広告だった。

 

人生を変える?

どうやって?

ここから抜け出せる?

 

そんな言葉が、頭の中を

ぐるぐる回っていた。

 

無料のお試し講座があった。

即、申し込んでみた。

 

すぐに返信が来て一回目の講座を

見ることができた。

 

今在ることに感謝していますか?

不足に目を向けるのではなく

今在るものを有難いと

思っていますか?

 

今の私に向けられたような

言葉だった。

 

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