真とのLINEのやり取りは続いていた。
まるで、決められた日課をこなさなければ
ならないかのように
義務感から「おはよう」を送っていた。
真のつらい気持ちは、痛いほど
伝わってきたし、寂しい思いも
私を求めていることもわかっていた。
でも、それがだんだん重くなって
私からのLINEをじっと待っているのかと
思うと、なんだか疲れてしまった。
おはよう
モカ、いいこと
考えついた
何?
この間、俺が神戸に
行くって言ったよね
言ったよ
でも、そんなこと
無理だって
わかってる
外で会うのは無理だよね
友達も信じられない
そう、だから真が
こっちに来ても
会えないよ
でも、どうしても
モカに会いたい
顔を見たい
触れてみたい
そんな
困らせることばかり
言われても…
それで
いいこと考えたんだ
なに?
俺がモカの家に
行くのはどう?
GPSの心配はない
そんなこと
ダメに決まってるでしょ
どうして?
盗聴器のことだったら
声を出さずLINEで
やり取りすればいいだろ?
ダメ
俺に会いたくないの?
俺はモカに会いたい
モカをもっと近くに感じたい
そんなこと
絶対できるわけないよ
何を考えているんだろう?
ショーが留守の間に
真を家に呼ぶなんて…
それで二人並んでLINEで会話する?
ありえない! 異常じゃないの?
いくら盗聴器の心配があるからって
そんなこと考えつきもしない。
まさか隠しカメラまでは
設置してないと思う。
もしそうなら、私が前よりもスマホを
みているのがわかっているはずで
きっとショーはスマホをチェックする
はずだから…
私を癒やしてくれていた真が
いつの間にか
常軌を逸した脅迫者みたいに思えてきた。