この話を聞いたとき
「なんておバカな人達だろう」
と思ってしまった。
どうしてママ友の夫と
不倫関係になったのかは
まだ、聞いてなかったけど
何もグループでキャンプ場に
来ているときに
二人きりになるなんて…
いくらでも、もっと安全な
時と場所を選ぶことも
できるだろうに…
そう思ったけれど、何も言わず
真の話を聞いていた。
翌日家に帰ってから
「いくら何でも、ゆきちゃんの
お父さんと関係を持つなんて
お前は何を考えているんだ。
相手の家庭のことも考えて
別れろ」と真が言った。
いくらリサのためを思っても
もはや妻と一緒にいることは
できなかった。
そこで離婚調停になったのだが
妻が不倫したにも関わらず
親権は取れなかった。
加奈の両親は、孫は絶対渡さないと
言いはってリサを引き取った。
真は月一回の面会だけは
譲れないと頑張った。
離婚の原因となった
ゆきちゃんの父親とは
すぐに別れて、しばらくの間
加奈は両親のもとで
おとなしくリサの母親でいたが
すぐに彼ができて
しょっちゅう
家を空けるようになった。
新しい勤め先で
親しくなった男性だった。
結局、リサは祖父母に育てられる
ことになった。
離婚当時は8歳だったが
さすがに13歳にもなると
母親が、どこで何をしているか
気づくようになる。
母親が自分よりも、彼を選んで
いることが許せなくなり
祖父母に対して反抗的になった。
どうやってリサを扱えばいいのか
途方に暮れた祖父母は
真の悪口を言うことで
自分たちの娘を正当化しようとした。
そのためにあることないことを
リサに告げた。
でも、まだ13歳の彼女にとって
どこまでが本当で
どこまでがウソなのか
見極めることはできなかった。
ただ、自分の周りの大人がみんな
信じられなくなっていた。
そんなわけで真との面会を
断ってきた。
離婚してから、5年間
リサと会うことが
唯一の楽しみだった真にとって
これはとてもショックな
出来事だった。
もう、これからリサに会えない
かもしれない。
そう思うと、何もかもが
どうでもよくなった。