それからの真は人が変わった。
事あるごとに
「モカに会いたい」と
つぶやくようになった。
もう言葉遊びの感じではなくなっていた。
どこか悲壮感が漂っているような…
そんな感じさえした。
「私も会いたいよ」
そう、合わせて言ってはみたものの
そんなことできるはずはなかった。
私が友達と食事に行った
明石焼きをインスタにアップしたら
「明石焼き、知らなかった。
いろいろ検索したら
美味しそうな店がいっぱいある。
神戸に行こうかな。
モカにも会いたいし」
と、具体的に会う予定を
立てようとしてきた。
「そんなこと 無理だよ
知ってるでしょ。 ショーのこと」
「誰か友達と一緒なら
大丈夫じゃないか?」
「そんな… 友達と一緒なんて
絶対無理だよ」
学生のときに心から信じていた
友人に裏切られたことがある。
その友人には当時付き合っていた
彼のことを何でも話していた。
その彼とうまくいかなくなったときに
感じていたことも全て…
なのに、その友人は
私の何が気に入らなかったのか
私が話したことすべてを彼に報告した。
ほんとに言わなくてもいいことまで…
そのおかげで、彼との仲は
もう修復不可能までこじれてしまった。
今の友人が、私を裏切るとは思わないが
学生時代の恋人どおしの付き合いと
結婚生活は重みが全然違う。
ここでショーに真のことがバレたら
何が起きるか…
怖くて想像できない。
ショーは怒って、離婚するって
言うだろうか?
いや
私は不倫したわけではない。
ただ、LINEでやり取りしただけ…
真の言った、首輪をつけられた女性の
話が浮かんできた。
そんなことになったら
気が狂ってしまう。
いっそ殺されたほうがマシかもしれない。
たのしいはずの真とのトークに
違和感が芽生え始めていた。