いつの間にかArataとチャットで
話すようになっていた。
内容はたわいもないもので
Arataの店のランチメニューで
珍しい素材を使ったものがあると
私が尋ねる。
例えばヤツガシラのグラタン
ヤツガシラって何ですか？
と聞いたら
写真を送ってくれて説明してくれる。
そしてお決まりのように
食べにくる？
とメッセージが来る。
行きたい
と返事をする。
ただ、それだけだった。
別に本当に行くわけでもなく
行けるわけでもないけど
なんだか心がウキウキした。
ショーを送り出してから
インスタにアップする。
Arataからのメッセージを
待っている自分に気づいていた。
なんとなく心が軽い。
自分のためのランチなのに
Arataが見てくれると思うと
つい頑張ってしまう。
何を作るか決めた瞬間から
どんな盛り付けにするか考える…
野菜の切り方もそれに合わせて…
平凡で退屈な日常が
一気に花が咲いたように
明るくなった気がした。
鼻歌を歌っている自分に
気づいてハッとした。
こんなに浮かれていたら
きっとショーに気づかれる。
潜在意思トレーニングを受けてみて、
私はなんて幸せなんだと再確認した。
ショーが私に与えてくれている
全てのものに感謝しないと
いけないって思った。
最近の私が明るくなったので
ショーが何かいいことあったの？
って聞いたときに、
潜在意識トレーニングで
学んだ感謝の気持ちを伝えたら
そうなんだ、と微笑んだけれど
心のどこかで私が勝手に
潜在意識トレーニングを
始めたことを面白くないと
思っているみたいだった。
だから、あんまり浮かれすぎると
ショーは絶対疑うだろう。
何があったんだ？
どうしたんだ？って
聞いてくるだろう。
しつこく…しつこく…
潜在意識トレーニングでは
ごまかされないだろう。
Arataとのチャットが見つかったら…
考えるだけでぞっとした。
何とかしないといけない。