(83)見極めたい

エリカの日常

絶対 後悔しないように…

感情に流されないように…

執着を捨てて…

自分が一番いいという道を選ぼう。

 

毎日のように マークは

一緒にメルボルンに行こうと言う。

 

私の気持ちは 揺らがない。

でも マークを怒らせないように

説得したい。

そう 思っていても なかなか

難しいものだった。

 

「僕は エリーがいないと

生きていけないのを

知ってるくせに…」

 

「エリーの生活は 今と

変わらないかもしれないけれど

僕は どうなるんだ…」

 

「僕たちは もう一度 僕たちの結婚

生活を考え直さないといけないんだ」

 

どれも 彼の自分勝手な理屈で

しかなかった。

 

私がいないと 生きていけないのに

どうして いつも お前なんか

いらないって言うの?

 

メルボルン行きを決めたのは

マーク。 私が頼んだわけではない。

だから メルボルンに行って

どうなるかなんて私にはわからない。

 

確かに 普通の結婚生活とは

違っていたかもしれないけど

それは あなたのメンタルシックネス

のせいでしょ。

 

2人きりで生活していたほうが

おかしくなっていたと思う。

 

ということを 淡々とマークに

説明した。 いつも 最後は

怒って 聞いてくれなったけれども…

 

いい加減 マークと話をするのさえ

嫌になっていた時メアリーと会った。

 

「マークが 故郷に帰って

弟の近くにいるようになると

メンタルが落ち着くかもしれないよ。

 

エリーが もう 別れるって

決めたのなら それでいいけど

あんなに仲が良かったし

マークも変わるかもしれないって

ちょっと思っただけ」

と 彼女が言った。

 

確かに 私が疲れ切ってしまったのは

マークのメンタルシックネスの

せいだ。

 

できる限りのことをしたけど

もう いっぱいいっぱいだった。

 

その上 生活環境を 全く変える

危険を冒したくはなかった。

 

それでも メアリーの意見を聞いて

マークが変わるんだろうか?

 

そうなったら マークの言うように

普通の結婚生活ができるんだろうか?

 

本当に 後悔のないように

自分たちの結婚生活を見極めたほうが

いいのではないか?

そんな気持ちになって家に帰った。

 

マークは コンピューターの前に

座って トレードをしていた。

 

「ハイ、エリー。 今日は

調子がいいんだ」と

ご機嫌な口調でマークが言った。

 

「二人の結婚生活を見極めようと思う

気持ちができた」と伝えようと

思っていたのに 「ねぇ、マーク。

 

もしも あなたが トレードで

充分稼げるようになったら

その勉強に使ったお金の半分は

私に返してくれるの?」

と 思っていたこととは

全然違う言葉が出てしまった。

 

最初は 無料講座で勉強していたのに

結局 300万ちかくお金を使って

聖杯探しをしていた。

 

お金のことを話し合ったときに

「トレードの勉強に使ったお金は

どうなるの?」と マークに聞いたら

「エリーが 間違った投資を

したということだよ」 のひとことで

片づけられてしまった。

 

今言った私の言葉にマークは

激しく反応した。

 

「僕が どれだけ一生懸命

やってきたと思っているんだ。

毎週 アメリカ時間に合わせて

夜通しセミナーを聞いていただろう。

 

すべて エリーのためだよ。

君に何不自由のない生活をさせて

あげたくて 頑張っていたんだろう!

もう いい! あっちへ行ってくれ!

 

このFX口座に入っている

お金の半分は デビッドに借りてでも

すぐに払ってやる!」 と マークの

怒りは沸点に達したみたいだった。

 

このマークの態度に腹を立てること

なくただ冷静に彼の様子を見ていた。

 

涙を流してまで 二人の生活のために

頑張ったと言われても

私が頼んだわけでもなく

自分で選んでしたことだ。

 

夜通し起きているマークの食事の

用意やお茶の用意をしたり

昼間 寝ているマークを

起こさないように

ひっそりと生活して

私も協力したはずだった。

 

こんなにすぐに怒るようになった

マークと 二人の結婚生活について

話し合い やり直すことなんて

できそうもない。

 

メアリーと話をしたのは

ほんの10分前のことだったけれど…

 

「たった今 二人の結婚生活を

見極めました」

と 結論を出してしまった。

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