(81) 節約モード

エリカの日常

朝8時だというのに

太陽がガンガンに照っている。

オーストラリアに帰って来た

という気がする。

 

飛行機の中で眠れなかったので

目が痛い。

マークのことをあれこれ

考えてしまったから…

 

タクシーを降りてドアの前で

カギを探しているとドアが開いた。

 

「ハロー エリー」とマークが

微笑みながらハグをした。

 

起きているとは思わなかったので

予想外のハグに戸惑ってしまった。

 

久しぶりに会った友人のような

遠慮がちなハグをして

「帰ったよ」と言った。

 

次の日から、マークがメルボルンに

行くためのパッキングを

本格的にし始めた。

 

まずは冬服から…

それからファイル類。

私にはガラクタに見える

マークのメモリーグッズ。

 

Neutribulletとストーン加工の

フライパンシリーズも

あげるつもりだった。

 

マークはネットでポールが

帰るときの航空券を予約していた。

 

その後でレンタカーを

ブッキングしに行ったのだが…

 

日本のように乗り捨てシステムと

いうのがないらしく

片道でレンタルすると

往復で借りるより

3000ドルも多くかかった。

 

ゴールドコースト店の社員が

メルボルンに行って車を

ピックアップして帰ってくる

費用らしい。

 

あまりにも値段に違いがあるので

マークは往復レンタルを予約した。

 

いろいろと

お金のいることが出てきて

急にマークは節約モードに入った。

 

今までは食材について、チキンは

○○産のオーガニックのもの、

冷凍のポテトは買うな、

ハムはパックのものでなく

デリで買え… などと

いろいろ注文をつけていたのに

自分で買い物をするようになると

スーパーブランドの

安いものを買ってきた。

 

「エリー、車のホイール替えたけど

車はエリーが乗るんだからホイールの

お金、半分返してくれない?」と

言ってきた。

 

「あのホイールがいいって決めたの

マークでしょ。 私は替える

必要ないって言ったのに、マークが

メルボルンに行くときに新しい

ホイールが空気を通していいって

買ったんじゃない」と言って断った。

 

往復、レンタカーを使うことになって

航空券を使わなくなったので

「エリー、チケット買わない?

一度メルボルンに来たら、きっと

いいところだと思って

住みたくなるよ」

と、私に売りつけようとする。

 

「どうしてチケットを先に買うのよ。

レンタカー屋さんに行ってから

決めたらよかったのに」と私が言うと

 

「チケットを予約しようと見ていたら

どんどん値段が上がっていって、早く

買わないと…って、あせったんだ」

と言う。

 

でもそれはマークの問題であって

私には関係ない。 今のところ

メルボルンに行きたいとも思わない。

「いらない」ときっぱり断った。

 

一番びっくりしたのは…

私がマークが以前から持っていた

ジューサーをパントレーの奥から

引っ張り出してくるときに

ポートワインを倒して

割ってしまった。

 

そしたらマークが

「そのワイン、メルボルンに持って

行こうと思ってたのに…

エリーが割ったんだから、半分

お金払って!」と言った。

 

あり得ない!って、思った。

私がマークのために無償で

荷造りをしてあげているのに

それに対してはなんの感謝もなく

割ったワインの代金を

請求するなんて!

どこまで、せこいんだろう!

こんな人とずっと一緒にいたのかと

思うと情けなくなった。

 

あんまり腹が立ったので

即、現金で払ってやった。

 

「共同口座を閉じた前の日に

トレードの教材買ったでしょ。

700ドルで。私の許可なしに。

あれはマークだけのものなんだから

半額の350ドル返してね!」

と反撃した。

 

マークは「お金ができたら払う」

と言っただけ。

きっと返す気ないんだろう。

 

ここまで本性をむき出しにして

それでも私がやり直したいと

言うのを期待しているのだろうか?

 

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