(63)入院

エリカの日常

看護師に 入院の手続きをするので

しばらく このままで待つように

言われた。

 

しばらくすると がっちりした

おじさんがやってきて

「病室に連れて行くから」と言った。

ベッドに寝たまま ガラガラと

病室まで連れていかれた。

 

病室は個室だった。

病院が新しいので いろいろな設備が

そろっていた。

 

テレビは 稼働式で 好きなところに

モニターを動かせるように

なっている。

 

USBを差し込むことも

できるようになっていた。

トイレも部屋にある。

 

歩行困難な人が 座った状態で動ける

ような滑車がついていて 病室中

動けるように

なっているみたいだった。

 

マークに 気分が悪いから 今日は

病院に泊まると電話で伝えた。

「エリー 大丈夫?」 と 言うので

「大丈夫だから 来なくていいよ」と

伝えた。

 

それなのに 1時間ほど経った時

メアリーが 病室を訪ねてきた。

 

びっくりしている私に

「エリー 大丈夫?」 と言った。

 

「少し 気分が悪いの。

フラフラするし…」

 

「私 マークと二人で エリーからの

電話を待っていたの。 一緒に迎えに

来ることになっていたから。

そしたら エリーが病院に泊まるって

電話をくれたでしょ。

 

それを聞いたら マークがすごく

心配して… エリーが大丈夫だから

来なくていいって 言ったんでしょ。

って 言っても 大丈夫かな?

大丈夫かな? って

ウロウロ歩きまわるし…

 

それで やっぱり 見に行きたいって

言ったの」

 

「そう。 ごめんね。 メアリーに

迷惑かけて」

 

「いいのよ。 迎えに来るつもり

だったし」

 

「それで マークは?」

「ロビーにいるわ。ここ6階でしょ。

上がってこられないって」

メアリーが 苦笑しながら言った。

 

「そうよね。 最近は 3階でも

上がれないって言ってたわ。

じゃあ ロビーに降りていこうか」

 

そう言って メアリーと二人で

マークのいるロビーに行った。

 

「エリー」 そう 叫んでマークが

私を抱きしめた。

 

今朝 送ってくれたばかりなのに

もう 何年も会っていなかったかの

ようなハグだった。

 

「大丈夫? すごく心配したんだ」

とマーク。

 

体を切ったわけでもないし ちょっと

気分が悪いので 大事をとって

入院しているだけなのに まるで命に

かかわる重病人のような扱いだった。

 

家に帰ってから 具合が悪くなったら

そのほうが困るでしょ。

大丈夫だから 心配しないでね。」

 

「エリーをみたら 安心した。

明日は 帰ってくるよね」

「多分 大丈夫だと思うよ。」

 

マークが心配してくれるのは

有難いことだが メアリーに

付いて来てもらったことに対して

すごく悪い気がしていた。

 

ホントに この人は 何かあると

周りを巻き込むんだから…

 

メアリーも家の用事があるだろうから

「明日退院するときに電話するから」

と言って まだ病院にいたいような

マークに 帰ってもらった。

 

夕食に チキンカツと 冷凍の

ミックスベジタブルを蒸したものが

出たが食べられなかった。

スープと デザートのジェリーだけを

食べた。

 

ペットボトルの水が 冷たくて

おいしく感じた。

 

夕食の食器を下げに来た人に

お水をもう一本欲しいと言ったら

それは 後で看護師さんに言って

と言われた。

 

どうやら 仕事ははっきりと

分かれているらしい。

 

就寝のころになると

むかつきも治まり

ずいぶんと楽になった。

 

きっと 明日は帰れるだろう

と思って眠りについた。

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