(59) Happy Easter ーその3 子供のまま大人になった人たちー

エリカの日常

デビッドは 結局 13日間

どこにも行かなかった。

 

その間にシャワーを浴びたのは2回。

それも 2回目は最終日に

出かけるときだった。

 

朝 起きると ビーチまで散歩しに

行って 1時間ほどして戻ってくる。

後はずっとマークと話をしていた。

 

始めの2,3日は気を使って

会話に参加しようとしたが

別に話すこともないので

マークと二人にしておいた。

 

普段なら すぐに疲れて

寝てしまうマークだが

兄の相手をするのは自分しかいないと

思ったらしく 毎日 朝早く起きて

夜 寝るまでデビッドのそばにいた。

 

3人で ランチを食べに行ったとき

デビッドがジュースを飲むと

言い出した。

 

「今から ランチを食べに行くのに

ジュースなんて飲んだら

おなか一杯になるよ」

と 私が言うと

「でも 今 飲みたいから」と

子供みたいなことを言って

買いに行った。

 

「エリーは 何がいい?」と聞くので

「ありがとう。 私はいらない」

と断った。

 

デビッドは ラージサイズの

ジュースを買った。

いつも買っているサイズなのだろうが

今から 食事に行くのに フルーツや

野菜のはいったジュースを買うなんて

いい大人のすることかと

あきれてしまった。

 

一気に飲み干すと

「おなかがいっぱいになったから

ランチはいらない」と言い出した。

全く この人たちの親は

どんなふうに子供を育てたのだろう。

 

マークの自分勝手な考え方に

しょっちゅう腹が立つけど

デビッドのわがままにも

あきれてものが言えなかった。

 

マークの顔を見ると 困ったような

表情をしていたが デビッドには

何も言わなかった。

 

レストランに行って 2人だけ

注文するということもできないので

ショッピングセンターの

フードコートでランチを

食べることにした。

 

よっぽど 食べずに帰ろうかと

思ったが そうすると 私が何か

作らなくてはいけなくなるので

腹を立てながら 欲しくもない

ハンバーガーを頼んだ。

 

デビッドとマークが2人で

ジャーマンバーに出かけた日は

2人ともバカみたいに飲んで

運転できなくなって

私に電話をかけてきた。

 

「エリー 迎えに来て。

酔って運転できない。」と

マークが言った。

 

「バカヤロー!」って

言ってやりたかったが もう

酔っぱらっていて運転できないのなら

車を置いてくるわけにもいかないので

迎えに行くしかない。

 

仕方がないので タクシーを呼んで

ジャーマンバーまで出かけた。

 

「デビッドが 何も 言わずに来て

くれるのって びっくりしてる。

エリーは 素晴らしいよ」 と

酔っぱらったマークが言った。

 

「キー 出して」と ぶっきらぼうに

言って カギをもらって

エンジンをかけた。

 

普通 2人いたら どっちかが

冷静になって 飲むのをセーブ

するだろうに。

 

どこまで

いい加減な人たちなんだろう。

 

デビッドがいると マークにべったり

されなくていい代わりに

余計面倒なことに巻き込まれる。

ホントに早く帰ってほしいと思った。

 

デビッドが帰る前日に

マークが嬉しそうに 「デビッドが

Foxtelをひいてくれるっていうんだ」

と言った。

 

「いろいろ 迷惑かけたから

お詫びとお礼のつもりで

ひいてくれるんだって」と

すごく喜んでいた。

 

それを聞いたとき

「そんなお金があるんだったら

近くのホテルに泊まってくれたら

よかったのに!」と

怒鳴りたくなった。

 

Foxtelなんて クリケットとか

フットボールを見るなら

価値はあるだろうけど 私は

全然 興味ないので

ありがたくもなんともない。

 

お礼がしたかったら

私の意見を聞いたらどうなの?

 

お世話をしたのは私だし

リビングにマットをひいて寝て

あなたたちに快適なベッドを

提供したのも私なのに!

 

どこまで ピントのずれた

人たちなんだろう。

 

まあ Foxtelがあると マークの

気晴らしになるんだろうと思って

「ありがとう」とだけ言っておいた。

 

長い13日が過ぎて デビッドを

空港に送って行くとホントに

スッキリした。

次は絶対 ない!と 心に誓った。

 

最悪のEaster Holiday だった。

 

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