(57) Happy Easter ーその1 デビッドの風邪ー

エリカの日常

イースターホリデーで La Grandeは

満室だった。

満室だと 逆にレセプションの仕事は

楽になる。

新たに予約を取ったり 部屋を

アレンジしたりしなくていいからだ。

デビッドが来ることもあって

3日間の休暇をもらっていた。

 

夕べは 結局ビール2ケースを空けて

みんな結構 酔っぱらってしまった。

 

ポールも飲みすぎて運転できないので

泊まっていった。

 

デビッドがスペアのベッドルームで

寝て ポールとマークが

メインベッドルームで

そして 私はリビングに

マットを敷いて寝た。

 

朝 早くポールが出て行くのが

わかったが 起きられなかった。

 

8時を過ぎたころ なんとか起きて

朝食の準備を始めようかと

思っていたら デビッドが

ひどく疲れた様子でキッチンに来て

水を飲みたいと言った。

 

思った通り ひどい声で

咳も出始めていた。

 

「風邪をひいた。 隣に座っていた

女のせいだ」と デビッドは言ったが

昨日のうちに 薬を飲んで さっさと

寝ていれば 少しはましだったのにと

心の中で思った。

 

風邪薬を差し出したが

いらないと言う。

薬を飲まない主義らしい。

 

薬が体に悪いと言って

飲まない人がいるが

ずっと飲み続けるのではなく

頭が痛いときとか

風邪の引きはじめとか ちょっと

飲めば楽になるのでは…

と思ってしまう。

 

デビッドと話している声が

聞こえたのか マークも起きてきた。

 

デビッドが薬を飲まないという話を

したら 小さいころ ずっと薬を

飲まされたから

飲みたくないんだろうと

わけのわからない理由を言った。

 

デビッドは もう少し 寝ると言って

ベッドルームに戻って行ったので

マークと二人で

朝食を食べることにした。

 

と言っても 二人とも 飲みすぎて

食欲がなかったので スムージーを

飲むだけにした。

 

「ポールの家に泊まれないらしいけど

デビッドは どうするつもりなの?」

と マークに聞いてみたけど

「わからない。 友達のところに

行くって 言ってたから そのうちに

連絡するんじゃない?」 と

あいまいな返事だった。

 

「家族なんだから 家に泊めて

当たり前だって 言ってたけど

息子のポールは きっぱりと

泊められないって断ってたじゃない」

と言いたかったが

昨日 着いたばかりだし もう少し

様子をみないと仕方がないと思った。

 

お昼過ぎに デビッドが起きてきたが

食欲はないというので

スープを作った。

 

少し マークと話をしていたが

咳がひどくなって また

ベッドルームに戻ってしまった。

 

結局 デビッドは 3日間

寝たり起きたりで どこにも出かけず

家でゴロゴロしていただけだった。

もちろん その間に

友達と連絡を取るわけでもなかった。

 

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