(51) Neutribullet ーその1 TVショッピングー

エリカの日常

ポールが訪ねてきてから 1週間後。

La Grandeから帰ったら

大きな箱があった。

 

「エリー これ見て」と マークが

嬉しそうに言った。

「何を買ったの?」

「Nutribullet テレビショッピングで

今買うとストーン加工のフライパンが

付いてくるんだ」

 

「どうして 勝手に買うの?

あれほど テレビショッピングでは

買わないでって言ったでしょ。

それに うちにブレンダーが

あるでしょ」

 

「でも こっちのほうが

モーターが強力なんだ」

 

「いくら 払ったの?」

「300ドルちょっと。 でも

フライパンもついているんだよ」

 

「ストーン加工のものなんて

重くて使えないわ。 温まるのに

時間がかかるし それに 加工して

あったって すぐに引っ付くように

なるの」

 

100ドルも出せば売ってるものを

また 300ドルも払って買ったんだ

と思うと ホントに腹が立った。

 

この人は テレビショッピングの

いいカモだ。

 

ポールや 兄弟の言うことは何でも

聞くのに どうして 私の言うことは

聞かないんだろう。

 

「前にも言ったけど 自分で

スムージーは作ってね」 返品は

前に懲りたので 使うしかなかった。

 

「スムージーの材料を買いに行こう」

子供のように 新しいものを

試したくて仕方のないマークは

言った。

 

スーパーに行って

ポールのおすすめのケールと

リンゴと キーウィと アーモンドを

買った。

 

勝手に テレビショッピングで

買い物したマークに 腹が立っていて

晩御飯を作る気もしなくなったので

日本食の店で 唐揚げ弁当も買った。

 

マークは家に帰って 早速

スムージーを作り始めた。

私は 知らん顔をしていた。

 

ムシャクシャするので お弁当を

食べながら ビールを飲んでいた。

 

真剣に レシピブックを読んで

ケールと果物を

書いてある割合通りに入れた。

 

すごい 勢いで ミックスされる。

アーモンドも粉々になってる感じだ。

 

マークは 得意げに グラスに注いで

一口飲んだ。

おいしくなさそうな顔。

でも まずいとは言わずに

一応 飲み干した。

 

「どう? おいしかった?」と

聞いたが 返事はない。

 

ケールは比較的癖のない野菜だが

材料全体の半分近く入れて

おいしいはずがない。

 

「明日から 朝食は スムージーに

するのね。 飲んだら ブレンダー

ちゃんときれいに洗っておいてよ」と

マークに言って

シャワーを浴びに行った。

 

次の日 仕事中に マークが電話を

かけてきて

「スムージーをもっとおいしく

するために 何か買ってきて」

と言った。

 

めんどくさいと思いながらも

帰り道で バナナを買って帰った。

 

「葉物をたくさん入れると健康には

いいかもしれないけど

おいしくないでしょ。

どうして 私の言うことを

聞かないの?」

 

「でも ポールは おいしいって

言った」

 

「彼が 毎日食べているものを

考えたら? 脂っこいものばっかり

食べてたら 野菜が新鮮で

おいしいって 思えたんでしょ。

 

私は 野菜中心で ヘルシーなものを

作っていると思うんですけど!」

と ちょっと 強気で言った。

 

「明日から バナナとフルーツと

青菜は少しにしたら 飲みやすいよ」

とアドバイスをしながら

買ってきたバナナを見せた。

 

 

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