(3)帰国

トモカのメル恋

3年の赴任期間を終えて帰国した。

 

日本での勤務先は神戸だった。

東京の本社でなくて

内心ホッとした。

 

会社の手配で

住むことになったマンションは

外国人向けにできているのか

リビングがとても広く

メインベッドルームと

他に小さな部屋があるだけだった。

 

それでも駅まで歩いて行けるし

しゃれた店はあるし

なかなかいいところだった。

 

アメリカでの生活で

メキシカンフードや

タイフード、インド料理の店に

よく行ったので

日本に帰ってからも

時々そういうものが食べたくなった。

 

幸いそう遠くない所に

エスニック素材を扱う店があった。

 

日本に帰ってくると

交通の便がいいので、友達に会ったり

買い物にも自分で行ったり

するようになった。

 

すると、ショーの様子が

少しずつ変わっていった。

 

私が友達とランチをして

その帰りにフラフラと

三宮の街を一人で

ウィンドーショッピングして

帰った日のこと…

 

ショーが家に帰って来るなり

「モカ、今日はサーコとランチ

だったよね。いつものお気に入りの

レストランを予約したって

言ってたよね」と私に言った。

 

「そうだよ。いつもの…」と

私が言い終わらないうちに

「その後、どうしたの?」と

ショーが尋ねる。

 

「どうって?」

「すぐに帰らなかったよね」

 

なぜ知っているんだろう?

と思ったけれど

「ああ。 ちょっと三宮を

ぶらついてみたの」と答えた。

 

「一人で?」

「そう。 友達は用事があるって。

でも、なぜそんなことを聞くの?」

と、不思議に思ったことを聞いた。

 

「GPSをチェックしてたら

モカがレストランから

駅と違う方向に行ったから…」

とショーが答えた。

 

一瞬、身体が凍り付いた。

この人、私をGPSで監視してたのか⁈

 

 

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